研究課題/領域番号 |
16510010
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研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
佐々木 洋 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (10183378)
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研究分担者 |
服部 寛 北海道東海大学, 工学部, 教授 (60208543)
山田 正俊 独立行政法人放射線医学総合研究所, 防護体系グループ, 研究員 (10240037)
福地 光男 大学共同利用機関法人国立極地研究所, 極域研究資源センター, 教授 (80099936)
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キーワード | ポリニア / 北極圏 / エクスポートフラックス / 季節変化 / 動物プランクトン |
研究概要 |
2003年9月〜2004年8月までの期間にCASES観測海域の観測定点(12測点)において係留されたセディメントトラップ(主に水深200m)が回収された。また観測船乗船時にプランクトンネットによる動物プランクトンの採集、微小プランクトン採集、元素分析用試料のための海水採取、および放射性核種分析用の海水および海底堆積物の採取が行われ、すべての研究用試料が日本の3研究機関に輸送され分析作業が開始され、以下のような知見を得た。 1.CASES海域における粒子フラックスの地理的変動と陸起源粒子の供給 年間のフラックスは南部のフランクリン湾に位置する測点CA20など大陸棚縁辺部で高く、北部のボホート海に隣接するアムンゼン湾口部や外洋域で低い。この差異は海氷に覆われる期間の長さ、海洋起源の生物生産、および陸起源の粒子供給量に依存している。陸起源粒子は全粒子量の4-49%の範囲で変動している。 2.生物起源粒子の組成、季節変動 生物起源粒子フラックスはほぼ全粒子フラックスに対応して季節的にも地理的にも変動する。トラップに捕捉される粒子は主に植物プランクトン、動物プランクトンの糞粒、マリンスノーなど、さらに混入した動物プランクトン(スウィマー)が測点によっては大量に認められた。これらの相対的割合は季節的に変動に変動している。 3.1987-1988年に実施された観測結果との比較 1987-1988年における粒子フラックスおよびスウィマーを今回の実験結果と比較すると、年間のフラックスおよび陸起源フラックスはやや増加するにとどまっていたが、スウィマーの組成は大きく異なり、今回はカイアシ類が圧倒的に優占したのに対して、15年前にはカイアシ類以外に翼足類が多数認められた。これらの動物プランクトン群の組成の変動は環境の変化を反映している可能性が示唆される。 これらの結果17年度に、米国海洋陸水学会(スペイン)、日本海洋学会(仙台)、極域生物シンポジウム(東京)、CASES研究会議(カナダ)において発表された。
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