研究課題/領域番号 |
16510020
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中田 誠 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80217744)
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研究分担者 |
佐瀬 裕之 財団法人日本環境衛生センター, 酸性雨研究センター・生態影響研究部, 主任研究員
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キーワード | スギ人工林流域 / 酸性降下物 / 林内雨 / 地形条件 / 北西季節風 / 渓流水 / 物質収支 / 葉面ワックス |
研究概要 |
1.2002年に本試験流域で実施した林内雨と樹幹流の観測結果を気象要因と関連付けて解析を行い、学会誌へ投稿した。この中で、斜面位置によって風当たりに違いを生じさせ、林内への成分流入量に影響していることが示唆された(中田・佐瀬担当)。 2.そこで2004年は風の影響を考慮し、試験流域の3つの異なる斜面方位(南西、西北西、北東)において、それぞれ斜面上部・中部・下部に林内雨(雪)の採取装置を設置し、観測を行った。その結果、10月下旬より季節風の影響が強まり、海塩成分をはじめ大気汚染物質の流入量が増加していること、斜面方位・斜面位置によって風の受け方が異なり、林内への成分流入量に差を生じさせていることが確認された。現在も観測を継続中であり、来年度にその結果を詳細に解析する(中田担当)。 3.試験流域からの成分流出量を把握するため、渓流水の水質及び流量観測を実施した。その結果、降雨に伴う流量変動時に流量と正の相関を示すもの(硝酸イオン)、負の相関を示すもの(ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、重炭酸イオン)、一定の傾向を示さないもの(カリウムイオン)が認められた。これらには、土壌中の深さに伴う成分ごとの分布様式の違いと植物による影響が示唆された。渓流水の観測は現在も継続中であり、前項とあわせて、来年度に流域における年間の成分流入量と流出量の収支解析を行う(中田担当)。 4.大気汚染物質の樹木葉面への影響調査として、季節に伴うスギ葉の葉面ワックスの変化と、それが成分溶出特性に及ぼす影響を調査した。その結果、スギの葉面ワックスの状態は季節や加齢によって変化し、それが葉面溶出の増大を引き起こしていた。そのため、林内雨に高濃度で含まれるカリウムイオンには、2年葉以降の葉からの流亡が大きく影響していることが示唆された(佐瀬担当)。
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