研究概要 |
本研究では,ごみ問題に関する環境配慮行動として,消費時と排出時のごみの減量行動を取り上げ,それぞれにおける要因間の因果関係やその関連の度合いを検討した。調査方法は質問紙調査とした。ここでは,性別などの属性のほか,取り上げた各要因の内容を反映するように作成した27項目について,7段階評価により回答を求めた。調査は,大学生(下宿生または寮生)と,家庭で主に家事を担当している一般の人を対象に行った。有効回答数は248(学生185名,一般の人63名),平均年齢は26.8歳であった。集計の結果,学生と一般の間には顕著な差は見られず,全データを用いて考察した。まず,消費時のごみの減量行動については,ごみ問題に対する深刻さの認知や責任感を高めることが,ごみの減量に協力的な態度を形成することに効果的ではあるが,それだけでは実際の行動にあまり結びついておらず,行動の際の手間が減量行動を大きく抑制していることが示された。また,知識や十分な社会的機会をもっていないことが,実際の減量行動があまり行われていないことに関わっているのではないかと考えられた。次に,排出時のごみの減量行動については、危機感や責任感,また資源回収の有効性が協力的な態度を形成し,それが実際の協力行動につながっているということが示された。また,行動する際にかかる手間が協力行動をやや抑制する傾向にあるものの,実際の協力行動は促進されていた。以上より,ごみの減量行動を促進するためには,ごみ問題に対する認知や責任感を強めるとともに行動の際の手間を軽減できるような制度を整備すること,また,使い捨て商品や過剰包装,資源回収についての情報や,ごみ減量の社会的機会をより活発に提供していくことの必要性が示唆された。
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