研究概要 |
今年度は主にトビムシ類および多足類に関する基礎的データの収集と野外データの解析を行ったので報告する。 1)栃木県渡良瀬遊水地において銅汚染の程度を測定し,汚染地域と非汚染地域に生息するトビムシ類とササラダニ類の群集解析を行った。出現種数はトビムシ類が22種、ササラダニ類が非汚染区では33種類,汚染地域では26種類であった。 2)栃木県渡良瀬遊水地に生息する多足類(ムカデ類)の種組成を明らかにし,汚染地域に生息するイシムカデ4種,Monotarsobius elegans, Lithobius pachypedatus, Esastigmatobius japonicus, Pacymerium ferrugineum および,非汚染地域に生息する3種,Monotarsobius elegans, Pacymerium ferrugineum, Prolamnonyx holstiiについて,体内の銅量をICP発光分光分析法によって測定した。 3)上記の汚染地域と非汚染地域に共通して生息するイシムカデ類Monotarsobius elegansについて,重金属(銅,亜鉛,鉛)が体内のどの部位に分布するか比較検討を行った。 4)栃木県那須温泉および湯川近郊の土壌を採取し,土壌中の重金属類の定性分析および定量分析を行った。特に湯川近郊の土壌は天然に砒素を多く含有しており,この点も考慮しこれらの地域に生息するトビムシ種の群集解析を行った。 5)オランダやデンマークを中心として今や世界各国で行われているトビムシ種Folsomia candidaを用いて重金属汚染のリスク評価を行うOECDリングテストをわが国においても初めて行ったので,その状況を詳細に報告する。
|