研究概要 |
本研究では主にトビムシ類および多足類に関する基礎的データの収集と野外データの解析を行ったので報告する. 1)2種のトビムシ(Folsomia candida, F.fimetaria)を用いた標準毒性試験法の検討を行った.これはOECDの試験ガイドラインの改訂を目標とする国際リングテストの一環であり,材料の調達や作業者の習熟なども検討の対象である.人工土壌に用いるピートの調達と調整にやや問題があった. 2)ヒ素含有土壌のトビムシ相を調査して9科属58種のトビムシが得た。相対出現頻度が5%以上1を示した優占種はベソッカキトビムシ,ヤマシロトビムシ,キタフォルソムトビムシ,ムラサキトビムシ,ニッポンシロトビムシ,マドツチトビムシの6種で,いずれも日本の各地からしばしば高密度で観察される種類であった.他の調査地との比較から,本調査地の特長としては相対的にキタフォルソムトビムシとヤマトシロヒメトビムシが多く,メナシツチトビムシが少ないものと判断された. 3)汚染後の時間経過と共に,土壌中の重金属の毒性は低くなることを,実験的に示した.つまり汚染させてから一定の時間をおいた土壌でミミズを飼育した場合,汚染してから時間が経った土壌ほど,ミミズのバイオマスが増加した.この結果を基に,様々な銅濃度で汚染後,どれほどの時間で非汚染土壌と同程度の毒性に至るのか,モデルで検討した. 4)栃木県渡良瀬遊水地の土壌から6種の多足類(ムカデ類)を得た.汚染地域に生息するイシムカデ4種,ダイダイヒトフシヤスデ,モモブトイシムカデ,ゲジムカデ,フタマドジムカデおよび,非汚染地域に生息する3種,ダイダイヒトフシムカデ,フタマドジムカデ,ツメジムカデについて,体内の銅量をICP発光分光分析法によって測定した.
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