研究課題/領域番号 |
16510037
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研究機関 | (財)放射線影響研究所 |
研究代表者 |
芦澤 潔人 (財)放射線影響研究所, 臨床研究部, 科長 (10304932)
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研究分担者 |
奥村 寛 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00073130)
難波 裕幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80237635)
井原 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60175213)
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キーワード | 甲状腺 / 放射線 / DNA修復 / 細胞周期 / p53 / ATM / MDM2 / DNA-PK |
研究概要 |
甲状腺がんについてDNA修復機構の関連に注目して昨年度に引き続き検討した。 1.放射線誘発甲状腺がんとp53多型:TP53遺伝子のArg/Argの発現が、放射線誘発の甲状腺がん(小児期、青年期、若い成人で被ばくした女性)において有意に低下していた。(Oncol Rep,2006 Apr;15(4):949-56) 2.放射線誘発甲状腺がんとATM多型:甲状腺乳頭がんにおいてATMの多型を検討した。ATMは、p53の構造や活性の重要な制御因子の一つである。 (1)エクソン39,G5557A多型:小児、青年での放射線誘発甲状腺乳頭がんでGアレルが有意に減少していた。これは重要な新知見である。 (2)ATM A5558T多型:多型の頻度が低い傾向があり、甲状腺乳頭がんのどのグループとも関連はみられなかった。 (3)イントロン22多型:IVS22-77C/Tについて解析した。自然発生の成人甲状腺乳頭がんで、Cアレルが過剰に発現されていた。 3.放射線誘発甲状腺がんとMDM2多型:MDM2は、ATMと同様にp53の流れにおいて重要な役割を果たす。MDM2 SNP309T/Gを解析したが、特に関連なかった。 4.放射線誘発甲状腺がんとXRCC1多型:現在検討中である。 5.甲状腺がん細胞とDNA-PK活性:ヒト甲状腺癌細胞でDNA-PK活性の差がみられたので、放射線感受性をコロニー形成法で測定した。DNA-PK活性が高いFRO細胞は放射線感受性が低く、DNA-PK活性が低いTPC-1細胞は放射線感受性が高かった。ウオルトマニン処理すると放射線感受性に差がなくなった。ウオルトマニンによって阻害されるDNA-PK活性依存性の修復系が二つの細胞で異なると考えられる。
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