ラドンと娘核種を、空気ルミネッセンスを利用して測定するための測定装置を設計し、構築を試みた。その条件の参考とするため、以下の実験を行い結果を得た。有機溶媒を用いずに空気からの発光を利用してラドンを測定しようとするとき、計数効率が問題となる。そこで高計数効率でラドンを測定するため、空気の代わりに、単体の気体を用いて数量既知のラドンを測定し、そのルミネッセンス計数効率の検討を行った。バイアルに、ラドンを気体(空気、窒素、酸素、アルゴン)とともに採取してラドンと娘核種が平衡に達するまで放置した後、液体シンチレーションシステムを用いてルミネッセンス計数率を波高スペクトルとともに測定した。その結果、通常の空気を用いたときのラドンの計数効率は43.2%であったが、窒素のみを充填して測定した場合は、60.2%という高計数効率が得られた。ルミネッセンススペクトルは高波高成分が多かった。これに対して酸素は、今回使用した気体の中で最も低い計数効率(28.2%)となり、スペクトルも低エネルギー側にシフトしていた。窒素の含量が高くなれば、高計数率が達成されることが確認できた。環境中のラドンのような数量の低い試料を測定しようとするとき、精度を得るためには、高計数効率で測定されることが求められる。酸素が少なく窒素が多い条件で、さらに測定部分体積を増大させることで可能になることが期待される。さらに、本学の各階の屋内ラドン濃度変化を市販の活性炭検出器を用いて測定した。その結果、高気密性で集中空調されている本学では、地上からの高さ等の要因より、人の移動が最も濃度に影響を及ぼす要因であることが明らかとなった。
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