水からのリンの吸着除去および回収に関する基礎実験を行った。 土壌改良材として用いられる安価なセラミックスを硫酸鉄処理することでリン除去能力の向上が見られたが、その機構について詳細な検討を行った。その結果、硫酸鉄処理したセラミックスには鉄イオンの徐放性があり、リン酸鉄として沈殿除去がなされていることが明らかになった。その速度は、液中での鉄イオン濃度に依存するが、硫酸鉄処理前のセラミックスによる除去分と足しても、除去能力を十分説明できなかったため、硫酸鉄がセラミックス表面に担持され、リン酸を吸着しているものと考えられた。 また、吸着除去およびリン酸鉄の形態における除去沈殿を促進するために、鉄イオンのどのような種類が最も有効であるのか、各種鉄化合物の粉末とリン酸を混合して、液相からのリン除去速度について比較した。その結果、金属鉄によるリン除去が他の化合物と比較して卓越し、金属鉄が溶存イオンに変化した後にリン酸鉄を形成していることが明らかになった。 また、吸着したリンを回収する方法として、酸処理、アルカリ処理、有機溶剤処理等を比較したところ、アルカリ処理が最も回収率が高く、有効であることがわかった。また、アルカリ処理したセラミックスに硫酸鉄処理することで再度吸着剤として利用可能であることがわかったが、吸着性能は初回の場合よりも低下する傾向が見られた。 さらに、水路あるいはろ過塔の装置で吸着除去を進める際の、装置容積、流量、吸着材更新頻度を求めるための、動力学的解析についても開始し、モデル計算と実験結果との整合性を得るに至った。
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