研究概要 |
昨年度開発した半導体レーザー励起固体レーザー(DPSS; AOM Q-switch Nd:YAGレーザー,発振波長532nm)を用いた空間走査可能なポータブルミー散乱ライダーに、ジンバル型ミラーを用いた自動レーザービーム調整機構を付与し、視野角0.2mradでも距離約1kmからミー散乱ライダー観測が可能なことを確認した。このジンバル型ミラーホルダーはGPIBインターフェイスによりコンピューター制御可能である。望遠鏡のRS-232C経由でのPCによる制御を含めた統合的なデータ収集システムを開発中であり、自動連続運転を可能にし、大気中浮遊粒子状物質(SPM)の空間分布計測を行なえるシステムとしたい。また、従来からのチップ型の半導体レーザーを用いたヴァイサラ社のシーロメーター(雲底高度計)による東京海洋大学越中島キャンパスにおける環境大気の主としてSPMの散乱による計測及び、船舶に搭載しての海洋上の大気境界層高度の測定などに応用してきた。ヴァイサラ社のシーロメーターの観測波長は905nmであり、水蒸気による吸収の効果がどの程度であるか、HITRAN2004データデースとAFGL標準大気の中緯度夏期、冬季の大気プロファイルを用いて放射伝達計算により見積もったところ、夏期にはレーザー光が30%、冬期でも4kmで20%吸収されることがわかり水蒸気の吸収が無視出来ないことがわかった。逆に、地上付近のシーロメーター信号についてはある程度SPMに比例するもとして利用できるのではないかと考えられる。
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