近年、情報化社会の発展に伴ない、電磁波に対する要求は大きくなり、電磁波利用機器は様々な分野で活躍している。ところが、その一方で複雑化してきた電磁波環境により、様々な弊害も生じている。その代表的な例としてTVのゴースト現象が挙げられる。この対策として電波吸収体を建築物の壁面に貼る方法がある。しかし2011年に完全移行予定の地上デジタル放送は通信方式がアナログからデジタルに変更し、周波数帯はVHF帯(90-222MHz)からUHF帯(470-770MHz)に移行する。さらに送信アンテナであるTV塔の位置も移動する地域もある。またしばらくはVHF帯、UHF帯の両方のTV電波を送信することになる。よって既存の電波吸収体の効果は低下すると予想される。 そこで本研究では次の点を検討した。 1)UHF帯用電波吸収体を開発・評価するための測定方法を確立した。 2)測定装置の調整として線路の対称性の確認を行った。 3)移相器を用いて位相を調整した。 4)反射板、コンクリート及びモルタルの電波特性(反射量、透過量、吸収量)を測定した。特に建築物の壁面として利用されるコンクリートに、UHF帯(設定基準周波数は600MHz)の電波を照射し、コンクリートの電波特性(反射量、透過量、吸収量)を測定した。 5)骨材の影響を比較するためにコンクリートとモルタルの測定を行った。 今後は、測定結果からコンクリート、モルタルの電波特性の指標を作成する予定である。
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