近年、情報化社会の発展に伴い、電磁波に対する要求は大きくなり、電磁波利用機器は様々な分野で活躍している。ところが、その一方で複雑化してきた電磁波環境により、様々な弊害も生じている。その代表的な例としてTVのゴースト現象が挙げられる。この対策として電波吸収体を建築物の壁面に貼る方法がある。しかし2011年に完全移行予定の地上デジタル放送は通信方式がアナログからデジタルに変更し、周波数帯はVHF帯(90-222MHz)からUHF帯(470-770MHz)に移行する。さらに送信アンテナであるTV塔の位置も移動する地域もある。またしばらくはVHF帯、UHF帯の両方のTV電波を送信することになる。よって既存の電波吸収体の効果は低下すると予想される。 一方、近年、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック廃棄物が大裏に排出され、このリサイクルの重要性が高まっている。プラスチック廃棄物を分別せずにプラスチックのみで溶融成形を行った場合、成形後のリサイクルボードの曲げ強度は小さく、ボードとしての使用は不可能である。そこで、繊維化したプラスチック廃棄物と古紙を混合し、熱間プレスにより成形するリサイクルボードを開発する。 そこで、本研究では以下の内容について検討した。 (1)電波吸収特性の測定装置である、平行二線線路測定装置を作製しその精度を向上させた。 (2)プラスチック廃棄物と新聞古紙を用いたリサイクルボードに電波吸収材料を混入し、電磁波を吸収する最適調合を見いだした。 (3)平行二線線路測定装置に移相器を用いて位相を調整し、反射板、コンクリート及びモルタルの電波特性(反射量、透過量、吸収量)を測定した。建築物の壁面として利用されるコンクリートに、UHF帯(設定基準周波数は600MHz)の電波を照射し、コンクリートの電波特性(反射量、透過量、吸収量)を測定した。
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