研究概要 |
これまでコンクリートによるのり面形成しか行えなかった急勾配ののり面に,環境に配慮した緑化を行う技術の開発を行うことを目的としている.これまで,のり面の緑化には、基材吹きつけによる手法がおもな工法であった。この方法は、急勾配ののり面の場合、基材が雨などで流出してしまい,実現が不可能であった.また、基盤材に含有させる種子は安価で入手しやすい外来性の牧草を用いたため、外来生物の問題も招いている。外来種子を用いず、種子の混合した基材が流出しない加工が可能であれば急勾配斜面にも緑化が可能である. そこで,現在注目を集めている日本の伝統的工法である土嚢を用い,より効率的に緑化を行う手法についての開発を行った.従来,土嚢を積み上げることによって作成されるのり面は強度が問題であった.しかし,補強技術が進歩し,一般的な土嚢擁壁の耐久年数は50年以上というレベルまで進歩した. 今年度は挿し木による緑化によって、どのような種をどのような時期に挿し木すれば緑化が可能であるかの検討を行った。挿し木による緑化に関しては、土嚢中の土壌の質が大事であること、また春の挿し木が効果的であること、特にツツジ科の植物が有効であることが示された。また、埋蔵種子が最大になる冬季の土壌を採集し、高さ2m、勾配60度ののり面を形成し、緑化実験を行った。のり面を組み立てた表面の土嚢には、植生土嚢を用い、表層土を混入した。現段階ではまだ、芽生えが発生はしていないが、次年度徐々に緑化が進むと考えられる。
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