研究概要 |
本研究は、液相成長(Liquid Phase Deposition, LPD)法により金属酸化物が含まれるシリカ系ガラス材料から金属元素を除去し、シリカガラスリサイクルと金属元素回収、およびリサイクルシリカガラスの薄膜光導波型デバイスヘの応用を目的としている。 LPD法は、H_2SiF_6水溶液にAIを添加してHFを消費させ、過飽和状態のH_2SiF_6水溶液からSiOFを析出させる。リサイクルSiOF薄膜は、その残留金属元素濃度を溶液中濃度の3〜5桁低減可能であることが判明した。また、廃棄ブラウン管(CRT)ガラスからの金属酸化物分離の検討を行い、(1)溶解・金属イオン化、(2)不溶・沈殿、(3)フッ化物析出、(4)溶解・錯イオン化、(5)電気分解析出など、金属種により適した分離方法があることが判明した。廃棄CRTガラスからのリサイクルSiOF薄膜中の含有金属濃度(Si濃度で規格化)は、Pb:18ppm(溶液中457227ppm)、Sb:3016ppm(溶旅中4985ppm)、Zr:457ppm(溶液中23598ppm)、Sr:1412ppm(溶液中59735ppm)であった。Pb濃度は4桁減少したが、SbはSb-O-Si結合として残留し、除去が難しいことが判明した。廃棄CRTガラスからのリサイクルSiOF薄膜の比誘電率は約3.780MHz)であり、高純度SiOF薄膜(約3.74)よりも僅かに大きく、フラットバンド電圧は、高純度SiOF薄膜に比べて負側に犬きくシフトすることなどが判明し、さらなる残留金属濃度の低減が必要である。 有機SOG薄膜クラッド、リサイクルSiOF薄膜コアを用いた熱光学デバイスは、ヒータ面積の減少で応答速度が向上し、最大消光比8.89dB、半波長電力5.89Wが得られた。今後、リサイクルシリカガラスのより高純度化、蛍光材料分離・回収の実用化、光学デバイス性能の向上が課題である。
|