研究概要 |
本研究の目的は,沿岸海域(閉鎖性内湾)における水質浄化,底質改善および藻場(磯焼け対策)の保全と修復である.そのため,自然環境を保全するための炭素繊維および製鋼スラグ等の素材の有用性を解明するとともに,沿岸海域へのそれらの有効な利用方法を明らかにすることである. 本年度に行なった主な研究は,駿河湾の久連地先におけるアマモ場の維持機構,沿岸域の覆砂材としての高炉水砕スラグの継続性,海水浄化船を用いた富栄養海域からのリン酸塩の削減,清水港の貯木場をモデルとしての環境修復に必要な,バックグラウンド観測などである.清水港の貯木場観測は,分担者以外の方々にも協力を頂き,堆積物(強熱減量,酸化還元電位,粒度,有機スズ,重金属など),海水(pH, COD, SS, TP, TN,重金属),懸濁粒子(形態,主成分分析,重金属など),カキ(重金属),潮流調査,プランクトンなどについて行なった.昨年度から本研究に関連し,継続している研究に関する学会発表および論文投稿の状況を下記に示す. 2004年7月12日・13日に琉球大学で開催された海環境シンポジウムにおいて,本研究の分担者が関連した発表として,ウォータージェットを用いた藻場の修復,炭素繊維や鉄鋼スラグを用いた人工藻場の創出に関して(4報),アマモ場の適性環境や底質の重金属含有量に関して(2報)および海水浄化船関係(1報)の計7報を報告した.また,2004年度日本海洋学会の春季(筑波大学,3月26日-30日)および秋季大会(愛媛大学,9月23日-28日)において,海水交換と懸濁粒子の輸送および駿河湾海水中のマンガンと鉄の変動要因について報告した.さらに,6月8日-11日に岡山大学で開催された日本海水学会第55年会において,製鋼スラグの底質改善効果について発表を行なった. 2004年度に投稿した論文は,和文3編である.また,2005年度の海環境シンポジウム、日本海水学会,地盤工学会などでの発表を予定している。
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