研究課題
生分解性プラスチックは微生物分解性というその本質的な性質から、食品衛生や一般医療材料分野での利用が困難であるとされている。この問題を解決するためには、大腸菌などの細菌に対しては抗菌性をもつが使用後は分解微生物が選択的に吸着し分解するといった微生物認識能を材料表面に付与する必要がある。本年度は、2つの方法、即ち(1)2μm〜200μmの凹凸構造を有する表面と5〜30μmの孔径を有する多孔質表面、(2)撥水性植物の葉の撥水構造を転写した表面、を用いて微生物認識能を有する表面の作成を試みた。生分解性プラスチックには微生物分解型のポリカプロラクトン(PCL)を用いた。そして、特にPCL分解能が高い3種のAspergillus属の糸状菌と一般細菌について、これらの表面への吸着性について検討した。その結果、(1)に付いては、A.fumgatusと、A.nigerでは10〜30μmの溝凹凸構造への吸着が優先的におこり、A.oryzaeは溝凹凸構造への吸着性が低かった。一方、30μmの孔径の多孔質構造については、3種の微生物すべてについて吸着性が極めて高く、一般細菌の吸着能が低いことがわかった。(2)については、サトイモの葉の凹凸構造をレプリカ法によりPCL表面に転写して水に対する接触角148度の超撥水性PCLを作成した。この表面は上記3種の微生物すべてに対して吸着性は低く、撥水性と抗菌性を有するPCL表面が構築できた。
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高分子論文集 62・3
ページ: 97-104
World Polymer Congress Macro 2004, proceedings
ページ: 112