研究概要 |
1.塩化タンタルを液体アンモニアに溶解させて得られる中間体の組成が[TaCl(NH_3)_4]Cl_4に近いこと,および原料保存時における酸素源(主として雰囲気中の水蒸気)を遮断することにより,中間体を真空焼成すればタンタル窒化物が安定に得られることを見出した。 2.タンタル酸窒化物を得るためには,窒化物の合成過程に適量の水を酸素源として添加するとともに,融剤として塩化カリウムを用いて780℃以上で焼成すればよい。一方,融剤に塩化ナトリウム,臭化カリウム,および臭化ナトリウムに用いた場合には酸化物が混在する。 3.1および2の傾向が第5族元素のニオブにも当てはまり,また第4族元素にも拡張可能である。 4.無溶媒エポキシ化反応に適する固体分散相の一般的特徴として,(1)固体分散相自身が固体酸化剤を分解しないこと,および(2)比表面面積が1m^2/g前後,粒子径が1ミクロン程度であることが必要条件である。 5.4に該当する固体分散相として,既報のフルオロアパタイトおよびハイドロキシアパタイトの他に二酸化ケイ素,酸化チタン,α酸化アルミニウム,およびフッ化カルシウム等が該当する。 6.液体アンモニアから合成した第5族窒化物および酸窒化物固体分散相は,それ自身が固体酸化剤を分解する傾向を有するため無溶媒エポキシ化反応には適さない。しかし酸化的脱水素反応の触媒兼分散相に応用可能である。特にテルペン類およびベンジルアルコールの酸化的脱水素反応に適応できる。 8.酸化チタンを液体アンモニアに浸漬後に真空焼成することで部分窒化または窒素ドープを施した固体分散相は,処理前に比較して,無溶媒エポキシ化反応における生成物収率の向上が認められる。この効果を説明するために,固体分散相としての改善効果と,新触媒としての効果の両面からの探求が予定されている。
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