研究概要 |
「リニア新幹線」や「700系新幹線」に見られるような列車の高速化や,二階建て新幹線のような車両の大型化に伴い,トンネル抗口において騒音が発生し,周辺の「音に対する環境」を悪化させている。一つは「トンネル微気圧波」であり,もう一つはリニア実験線で問題となった「連続的な低周波騒音」である。これらの騒音はトンネル坑口周辺での居住空間の音環境を悪化させ精神的な苦痛を与える。本研究では,列車の形状・速度,トンネル形状などの条件の違いに自動的に追従できる,アクティブな微気圧波・低周波騒音の消音技術を確立することを目指すものである。本研究の手法はトンネル内で正圧を用いて圧力波形を制御するという特徴を持ち,従来研究されてきたアクティブ消音手法の欠点(実現可能性・制御の安定性)が全くなく,しかも装置を非常に小型で安価にすることができる。平成16年度までに数値計算・模型実験により微気圧波の消音技術をほぼ確立した。平成17年度は,実際のトンネルへの応用条件を明らかにするとともに,トンネル坑口から放射される連続的な低周波騒音について,同じ手法を用いてアクティブ消音を試みた。微気圧波に比べ低周波音は連続的であり,その発生・制御には連続的にバルブを動作させる必要がある他,必要な空気量が膨大になる。低周波音を発生・制御できるようにサーボアクチュエータや駆動ソフトウェアを改良し,空気タンク容量を増加させた後,リニア実験線で観測された8Hz以下の低周波音を発生させることに成功した。位相を反転させた制御波を枝坑から発生・合成させることで,低周波騒音が技術的に消音可能であることを示した。
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