研究概要 |
高温パルスアーク放電法を用いてこれまでにない欠陥の少なさと、直径分布の狭さ(1.6-2.0nm)を実現した高品質2層ナノチューブ(HQDWNTs)を安定に生成・精製することに成功した。この結果、成果1に示すようにナノチューブ電界効果型トランジスターの性能を従来の単層ナノチューブ(SWNTs)を用いたものよりも、飛躍的に向上させることに成功した。これは、HQDWNTsが従来のSWNTsと同程度の品質を備えながら、より太い直径を持つためであると考えられる。これまでに生成された従来の2層ナノチューブは直径分布が2-5nmと広く、欠陥が多いためこのような優れた特性を示すことはなかった。このように高品位なため、成果6に示すように、層間相互作用によって内層と外層が原子レベルで炭素ネットワークの位相をあわせていることが、電子顕微鏡によって原子レベル分解能で測定された。このHQDWNTsをさらに活用するために、内部にフラーレン類を導入し、成果2,4のようにピーポットを作成することを試みている。これによりトランジスターとしての性能を向上させたり、特性を制御することができる。さらに成果3のようにSTMを用いた高分解能測定と電子状態の測定を行っている。これにより、層間相互作用がより、詳細に観察された。 このように層数制御を1層、2層に関して行うことができた。今後3層以上のさらなる高精度制御を行うために、生成前駆体の検出と制御を、現在開発している気相移動能測定装置と超高温パルスアーク放電装置を用いて行う予定である。
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