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2004 年度 実績報告書

フラーレン強磁性体の高圧ポリマー相の構造と物性

研究課題

研究課題/領域番号 16510076
研究機関岡山大学

研究代表者

神戸 高志  岡山大学, 自然科学研究科, 助手 (00277386)

研究分担者 大嶋 孝吉  岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10114414)
キーワードフラーレン / 強磁性 / 軌道秩序 / ポリマー
研究概要

1.常圧下での強磁性α-TDAE-C60の結晶構造
従来,強磁性転移をするα相の結晶構造について,我々の低温構造モデルとは別に,C60分子が配向無秩序であるモデルが提案されていた.しかしながら,この配向無秩序モデルでは,実験で観測される構造相転移を考慮せずに解析されており,強磁性を導く低温構造について確定したとは言い難いものであった.本研究により,そのモデルの問題点を指摘し,強磁性を生み出す結晶構造を確定することができた.これらの研究の成果は,米国電気化学会に招待され講演するとともに,Physical Review B誌に掲載可となった.これらの研究成果はSpring8での構造測定も含んでいる.この系の強磁性は加圧によって抑制され,ポリマー相の出現とともに消失する.この研究により,ポリマー相の構造のベースとなる常圧下での結晶構造が確定したことになる.
2.二つの多形構造を持つTDAE-C60の低温における磁性
TDAE-C60には二つの多形が存在することが知られている.一方のα'相は強磁性を示さないが,その低温における磁気異方性を電子スピン共鳴を用いて検討した.2相の磁性の違いは低温構造の違いを反映していると考えられ,TDAE分子とC60分子間の磁気的相互作用の微妙な違いが,これら2相の基底状態を分けている可能性があることがわかった.これらの結果は,オーストラリアで開かれた有機合成金属の科学と応用に関する国際会議(ICSM2004)で報告するとともに,Synthetic Metals誌に掲載が許可された.
3.蛍光顕微鏡を用いたルビー蛍光測定による圧力計測
ダイアモンドアンビル(DAC)の圧力計測は,ルビー蛍光法によってなされることが多いが,市販ベースのシステムは非常に高価である.そこで,本研究では蛍光顕微鏡と(ルビー蛍光が出る波長領域に制限した)高分解能分光器を組み合わせることで,DACの圧力計測を十分な精度で可能にした.現在,このシステムを用いて,強磁性体TDAE-C60の格子定数の圧力依存性を測定し,再現性のあるデータを蓄積中である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004 その他

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Structural differences in two polymorphs of tetra-kis-(dimethylamino)-ethylene-C60: An X-ray diffraction study2005

    • 著者名/発表者名
      Motoyasu Fujiwara
    • 雑誌名

      Physical Review B 71

      ページ: 174424

  • [雑誌論文] Low temperature structural analysis and ferromagnetism in the fullerene-organic compound TDAE-C602004

    • 著者名/発表者名
      Takashi Kambe
    • 雑誌名

      SPring-8 User Experimental Report 13

      ページ: 50

  • [雑誌論文] Anisotropy of ESR parameters in organic ferromagnet TDAE-C60

    • 著者名/発表者名
      Motoyasu Fujiwara
    • 雑誌名

      Synthetic Metals (印刷中)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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