研究課題
(1)金のナノワイヤのスペクトルの理論的解析により反電場効果の更なる確証を得た我々はすでに、40nmおよび60nmの線幅のAuのナノワイヤのS偏光入射・P偏光出射の光第二高調波スペクトルの試料方位角依存性より、ワイヤ軸に垂直な電場に対して誘起電荷の作る反電場が、電場の侵入を著しく阻んでいることを見つけている。今回P偏光入射・P偏光出射の光第二高調波スペクトルの3eV以上の領域を解析することにより、誘電率の大きさの減少による反電場の現象でスペクトルの形を説明できた。これによりこの系で反電場により入射電場の侵入が阻害されていることが確実になった。(2)線幅20nmの白金のナノワイヤの光第二高調波スペクトルの測定に成功した我々は以前線幅9nmの白金ナノワイヤの光第二高調波スペクトルを測定したが、今回線幅20nmの白金ナノワイヤの光第二高調波スペクトルの測定に成功した。9nnの試料でのSH光強度ピークは4.3eVであったのに対し、20nmの試料でのピークは4.65eVであった。これはナノワイヤ列の線形な誘電率構造に起因すると結論した。(3)銅のナノワイヤの作製および線形の反射率の測定に成功した貴金属のナノワイヤの非線形効果に対する理解を更に深めるため、銅のナノワイヤに関する実験の準備を開始した。まず、銅のナノワイヤの製作をShadow deposition法により行い、10〜20nmの線幅の試料の作成に成功した。現在これらの線形反射率の測定をしており、特徴あるデータを得つつある。(4)MgO蒸着源のテストを行った基板をNaClではなくMgOにして試料製作を行えば、MgOに潮解性がないことから、ナノワイヤの断面試料を製作することができるので、断面形状と非線形効果の相関を評価することができる。この試料製作のために、MgOを電子ビーム加熱法で蒸着するテストを行い成功した。
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Physical Review B 72巻・23号
ページ: 233406
Proceedings of the Osaka University - Asia Pacific - Vietnam National University, Hanoi Forum 2005 (印刷中)