研究概要 |
NaCl(110)ファセット面上のPtおよびCuのナノワイヤの非線形光学応答、MgO(110)面上のPtナノワイヤの断面形状と非線形効果の相関に関する研究を進めた。 (1)白金ナノワイヤの光第二高調波の方位角依存性のパターン解析 NaCl(110)ファセット面上の線幅9nmおよび20nmの白金ナノワイヤの光第二高調波の方位角依存性パターンを非線形感受率を用いた現象論的手法で解析した。このパターンは以前測定した金のナノワイヤのパターンと較べてワイヤ軸に垂直方向の光第二高調波強度が大きいが、それに対応してχ^<(2)>_<222>成分(2はワイヤ軸と垂直方向)が大きいことが見出され、さらに9nmのナノワイヤの方がワイヤ断面形状の制約による対称性の破れによりこの傾向が大きいことがわかった。 (2)銅のナノワイヤ列の線形・非線形光学応答の測定 貴金属のナノワイヤの非線形効果に対する理解を深めるための銅のナノワイヤの研究においては、14nm〜19nmの太さのワイヤ列に対する線形吸収スペクトルの系統的な測定に成功した。そしてこの結果をマックスウエルガーネットの平均場による誘電モデル、およびFTDT法により説明した。また、このワイヤ列の光第二高調波応答を観測し、χ^<(2)>_<311>,χ^<(2)>_<222>,χ^<(2)>_<323>成分が大きいこと、また特に基板面と垂直方向の添え字(3)を持つ成分が強い原因として、電場の基板と垂直方向の局所プラズモン励起による増強が原因であることを結論した。 (3)MgO(110)面ファセット面上の白金ナノワイヤの線形非線形応答 基板をMgOにして試料製作を行い、透過電子顕微鏡によるナノワイヤ試料の断面観察と非線形光学応答の比較を行った。ワイヤ太さが7nmのものを1つ作ることに成功し、上面図と断面図、線形透過スペクトルおよび光第二高調波強度の方位角依存性をp偏光入射p偏光出射について測定することに成功した。
|