研究概要 |
チタンテトライソプロポキシドと少量のオルソケイ酸エチルを1,4-ブタンジオール中に加え、オートクレーブ中で加熱することで高い熱安定性をもつシリカ修飾チタニアが得られる。本研究では、このシリカ修飾チタニアをアンモニア気流中で高温処理することで、窒素ドープを行い、その可視光応答性光触媒性能について検討した。窒素ドープしていない試料は380nm以下の紫外線領域にしか光吸収を持たないのに対し、窒化処理した試料は400〜500nmの可視光領域にも大きな吸収を示した。この可視光域の吸収はシリカ修飾していない試料に比べ、シリカ修飾した試料では著しく増大し、より高濃度の窒素が安定にドープされていることが示された。これは、シリカ修飾チタニア中では、Siがアナタース構造の空きサイトに侵入型で取り込まれ、電荷のアンバランスが生じているが、窒化処理によりNが構造中に取り込まれることで、電荷のアンバランスが補償され、安定化されるためと考えられる。このシリカ修飾チタニアを窒化した試料は、可視光照射下で、比較的高い光触媒活性を示した。同様の方法で、Al、Ga、Pなどを添加した修飾チタニアを合成し、窒化処理した試料について可視光応答型光触媒材料を調べたところ、Pを添加した試料が比較的高い可視光応答型光触媒活性を示した。これはPのイオン半径が小さく、Si同様にアナタース構造の空きサイトに取り込まれ、その後のアンモニア処理により安定に窒素がドープされたためと考えられる。
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