研究概要 |
(1)これまでに見出されたワイヤーやシート状のコロイドの生成条件や生成機構を解析するために,照射条件と銀ナノワイヤー,シートの生成効率および形状との解析を行った.今回検討を行った照射条件は,照射密度,集光条件である. 1)照射密度:照射密度の増加と共にワイヤー,シートの生成効率が増加することが明らかになった.なお,生成効率は吸収スペクトルの変化からある程度定量的に見積もることが可能であることが示唆された.また,2)の結果に基づいて,低い照射密度における形状変化の解析を行った.その結果,これまでに全く見出されたことのない,プリズムやロッド状のナノ粒子が生成することが見出された. 2)集光条件:コロイド溶液に照射するレーザー光を集光するレンズの焦点距離を変えたところワイヤー,シートの生成効率が変化するという現象が見出されたため,当初光ピンセット効果の違いが現れているのではないかと考え,集光条件の影響について解析を行った.結果的にワイヤー,シートの生成に光ピンセット効果の影響は非常に小さく,ワイヤー,シートは焦点付近ではなく,予想よりも低い照射密度で生成するということが明らかになった. (2)新たな照射方法として,二つの異なる波長のレーザー光を同時あるいは一定の間隔でコロイドに照射するダブルパルス照射法を構築した.本年度は噴出粒子への直接照射について検討を行った.これは,アブレーションによって銀板から噴出する高密度のコロイドに直接レーザー光を照射することによって形状変化を高効率に引き起こすことをねらった実験であったが,逆に効率が低下することが明らかになった.解析の結果,アブレーションによって銀板表面にプラズマのバブルが発生し,第二のレーザー光が散乱され,コロイドへの照射効率が低下したためであると推測している.
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