研究概要 |
フォトクロミズム分子には,分子ワイヤ中の伝導スイッチや単一分子メモリとして,分子エレクトロニクスの中での役割が期待できる.本研究は,フォトクロミズム分子の高密度アレイの作製技術を確立し,フォトクロミズムによる分子内伝導度変化を単一分子レベルで明らかにし,超高密度メモリのプロトタイプを作製することを目的としている. (1)軸配位Rhポルフィリンのアルキル基の長さ,結合位置が異なる各種異性体を合成した.STMによる検討によって,単独アレイを形成できる軸配位Rhポルフィリンの構造はアルキル基が充分長いもの(C_<30>)であることを明らかにした. (2)上記の知見に基づき,フォトクロミック化合物であるジアリルエテンを軸配位子として導入したC_<30>をもつRhポルフィリンを合成した.この分子からジアリルエテン分子単独のアレイを得ることに成功した. (3)基盤に対して垂直に自立するアゾベンゼン誘導体を合成し,アルカンチオール自己組織化単分子膜に埋め込み,単一分子をSTMで観察した. (3)また,軸配位系の新規機能としてフォトクロミズムによるポルフィリン-軸配位子間の電子移動のスイッチング,および軸配位自体の着脱とそれにともなう発光強度のスイッチングを実現した。 (4)また,ポルフィリン集合体の新規機能として,従来の機構から考えられる速度を超えたエネルギー移動現象を見いだした.さらに,様々なパターンのポルフィリンアレイを作り出す方法を見いだした.
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