研究概要 |
フォトクロミズム分子には,分子ワイヤ中の伝導スイッチや単一分子メモリとして,分子エレクトロニクスの中での役割が期待できる.本研究では,フォトクロミズム分子の高密度アレイの作製技術を確立し,フォトクロミズムによる分子内伝導度変化を単一分子レベルで明らかにし,超高密度メモリのプロトタイプを作製することを目的とした.2年間で以下のことを達成し,フォトクロミズム分子の高密度アレイを得た.単一分子レベルで光応答性を得ることが次の課題となる. 1.フォトクロミズム.新規フォトクロミズム分子としてフェニルアゾイミダゾールの特性を明らかにした. 2.アレイ作製.基板状に高密度で規則的な分子,特に軸配位を利用してフォトクロミック分子を配列させることが期待できるポルフィリン化合物のアレイを作製し,その配列構造を分子レベルで明らかにした. (1)ダブルデッカーポルフィリンのアレイによって,分子の回転についての知見を得た. (2)水素結合性ポルフィリンによって,2次元のパターニングができることを明らかにした. (3)三脚タイプの分子のアレイを作製した.フォトクロミック化合物の台座となることが期待される. 3.ポルフィリンの組織化.フォトクロミック化合物を導入するための軸配位を中心としたポルフィリン分子組織体を構築し,その機能を明らかにした. (1)3分子からなる軸配位性分子集合体を構築し,その電子移動特性を明らかにした. (2)分子組織体中での蛍光のリモートコントロールを実現した. (3)軸配位子の着脱やフォトクロミック反応による構造変化を利用した蛍光の変調を実現した. (4)ポルフィリン組織体中で,従来の機構から考えられる速度を超えた高速エネルギー移動を見いだした.
|