研究課題/領域番号 |
16510093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口東京理科大学 |
研究代表者 |
白石 幸英 山口東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (60289303)
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研究分担者 |
戸嶋 直樹 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (50011010)
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キーワード | 金属ナノ粒子 / ナノクラスター / コロイド / 液晶 / ねじれネマティック / 4-シアノ-4'-ペンチルビフェニル / 液晶表示素子 / 周波数変調 |
研究概要 |
有機物で保護・安定化した金属ナノ粒子が、ナノテクノロジーを支える材料として注目されている。本研究室では、最近、液晶分子を保護剤とするPdナノ粒子を調製し、この添加により液晶表示素子(LCD)のコントラストを向上させることができることを報告した。本年度は、ネマティック液晶の4-シアノ-4'-ペンチルビフェニル(5CB)を保護剤とするPdおよびAgナノ粒子を調製し、これを添加したLCDの電気光学特性を検討した。 5CBを保護剤に用い、金属イオンのテトラヒドロフラン溶液を紫外線照射することにより、5CBで保護された金属ナノ粒子を調製することに成功した。透過型電子顕微鏡観察の結果、Agナノ粒子は平均粒径4.7nm、標準偏差2.7nmで、Pdナノ粒子は平均粒径1.9nm、標準偏差0.8nmであり、共に比較的均一であった。調製した金属ナノ粒子をホスト液晶5CBに1〜3wt%混合し、ねじれネマティック(TN)-LCDを作成した。調製した5CB保護金属ナノ粒子は、ホスト液晶に混合しても均一相を与えた。 金属ナノ粒子を添加したLCDの電気光学特性を、Photal LCD-5200(大塚電子(株))LCD評価装置を用いて、交流電圧を加えたときの透過率(V-T特性)で評価した。その結果、周波数を変化させると液晶分子駆動の閾値電圧が変化し、電圧一定では透過率が周波数に依存して変化するという興味深い結果を得た。この周波数変調は、5CB-Pdナノ粒子添加系では20から100Hzの範囲で、5CB-Agナノ粒子添加系では1000から7000Hzの高周波数領域で起こり、金属種に依存して変化した。周波数駆動の回路を作成したところ、特筆すべき現象として、白黒表示の切り替え応答速度が、従来の電圧駆動の20〜30ms程度の値から、10分の1の2.6msに短縮された。
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