研究課題/領域番号 |
16510095
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
泉 生一郎 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (50043477)
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研究分担者 |
片倉 勝己 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助教授 (80169466)
京兼 純 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50043469)
石丸 裕士 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助教授 (70270311)
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キーワード | 塩化銅-黒鉛層間化合物 / インターカレーション / ナノ層間制御 / 水素生成 / 二酸化炭素還元 / 電極触媒 / 光触媒 |
研究概要 |
黒鉛層間の炭素原子はsp^2混成軌道を有し、そのσ結合の連なりからできた六角平面に対し直角にπ電子が配向している。このπ電子によるファンデルワールス的な力によって炭素表面が積層し、異方性の高い結晶となっており、層間のナノ空間に様々な化学種(インターカレート)を挿入して黒鉛層間化合物を合成することができる。 本研究は、黒鉛のナノ層間を制御することにより新しい型の触媒を創製し、この触媒による水素生成と二酸化炭素還元固定化の新規システムの開発を目的として行った。 先ず、高品質のホスト黒鉛材料を金属塩化物と混合し、真空化、400℃〜500℃のガラスアンプル内で数日間反応させ、各種ステージ構造とインターカレート量の異なる層間化合物を合成した。合成した塩化銅-黒鉛層間化合物の断面をカットし、ガラス管に封入して作製した電極を、硫酸カリウム水溶液中、キセノン光及びモノクロメーターで波長制御した単色光を照射しつつ、電気化学システムを用いて光電流の電極電位依存性や液性による影響を調べ、光応答メカニズムについての考察を行った。この塩化銅-黒鉛層間化合物粒子を金属銅粉末との混合懸濁系としてXe光照射すると、メタノール水溶液から水素が生成し、新規な光触媒反応として注目される。 また、塩化銅-黒鉛層間化合物を電極として用い、二酸化炭素を飽和した炭酸水素カリウム水溶液中で定電位電解を行ったところ、水分解による水素生成のほかに二酸化炭素の還元生成物である一酸化炭素とメタンを生成した。この場合、ステージ1構造の層間化合物がステージ2構造のものよりメタン生成に有利であった。電流効率は8.6%程度と低く、電極自体の安定性にも問題が残されているけれども、炭化水素生成が優先する金属銅電極の特性と類似しており、今後電極の安定化を図れば二酸化炭素還元の電極触媒として期待することができるものと考えられる。
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