研究課題/領域番号 |
16510097
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
梅田 倫弘 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (60111803)
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研究分担者 |
飯村 靖文 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (10201302)
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キーワード | 液晶 / 原子間力顕微鏡 / 分子配向 / ナノラビング / プローブ / 光デバイス / 配向制御 / 回折格子 |
研究概要 |
本研究は、原子間力顕微鏡(以下、AFM)プローブによる液晶分子の直接配向現象を用いて、液晶分子の配向状態を直接的にかつ精密に制御する技術を確立するとともに、本技術によって液晶応用光デバイスの試作を目的とした。今年度は、以下のことが明らかとなった。 1)液晶薄膜の作成と膜厚制御 AFMラビングする膜厚の知られた液晶薄膜を作成するため、溶剤による液晶の希釈およびスピンコート法を用いた。このために、液晶薄膜の膜厚を精度よく測定するための方法を考案した。先端直径が100nm以下の微細ガラスプローブ先端を、その軸に対して直角に微小振動(振幅10nm以下)させてプローブ先端が表面に接触すると第1の減衰が生じ、次に基盤表面に近づくと第2の大きな減衰が生じる。これら2つの減衰が得られるプローブの移動距離から膜厚が計測される。この測定法により10nmの精度で液晶膜厚を計測することに成功した。 2)AFMラビングによる配向条件の探索 スピンコート法により作成された膜厚の知られた液晶薄膜に、以下のようなパラメータを変えてラビングをすることで得られたAFMラビング膜を、分子の配向状態が観測できる複屈折近接場光学顕微鏡を用いて複屈折の位相差と主軸方位分布を観測および定量評価した。 1.プローブ走査速度 2.プローブ走査密度 3.プローブ押し付け力 4.プローブ走査エリア 5.配向の再現性 6.配向状態の持続時間 この結果、プローブ走査速度は比較的低速に、プローブ走査密度は1ミクロンあたり1本とすることで確実な配向が可能であること、プローブの押しつけ力は、最低OnNでも配向出来ることが分かった。また、配向の再現性や持続時間は、比較的高く、安定して配向可能であることが分かり、次年度に向けて液晶光デバイス作成の上で重要な知見が得られた。
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