研究課題/領域番号 |
16510103
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金澤 雄一郎 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (50233854)
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研究分担者 |
S.J. Turnbull 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (90240621)
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キーワード | 総保有コスト / 自動車の信頼性 / 無視できない非応答 / 比例オッズモデル / ランダム係数ロジットモデル / 一般化モーメント法 / 操作変数 / 確率的等連続性 |
研究概要 |
本研究は大別して(1)TCO(Total Cost of Ownership)の推定、(2)random-coefficients discrete-choice models of demandに基礎においた新たなモデルの開発とその統計的な大標本特性、なかでも一致性(consistency)と漸近正規性(asymptotic normality)および漸近分散共分散行列の算出、(3)アメリカ自動車市場へのモデルの適用、の三つからなる。昨年度に完成したTCO(Total Cost of Ownership)の推定を踏まえ、本年度は一致性・漸近正規性および漸近分散共分散行列を以下の手順で求めた。 Step1.標本誤差として(1)市場シェアを推定するときに生まれる誤差、(2)理論市場シェアをシミュレーションによって計算するときに生ずる誤差、および(3)供給サイドにおいてモデルを定式化するときの誤差、これらに加えて(4)人口動態的な購買情報に生ずる誤差とした。 Step2.妥当と思われる一連の条件の設定。これらの仮定はrandom-coefficients discrete-choice models of demandにおいて成立しなければならないことに留意した。 以上を踏まえ差別化された製品数Jが増加するときに、需要と供給の両方の面で操作変数を用いてモーメント条件を求め一般化モーメント法によってモデルのパラメータを推定する場合の大標本の性質について調べた。これは産業組織論においては製品数が多い場合が通常であり、また空間的な競争や、一つの企業内に複数の製品群が存在することからくる不完全競争の理論が適用可能であるからである。 製品数Jの増加に伴ってStep1で定義した各種の誤差の減少が各製品の市場シェアの減少より早く減少すること、市場シェア関数が製品特性値の上昇に伴って滑らかに増加する性質をもち、市場シェア関数の増減から製品特性値が推定可能であること、また真のパラメータ値近傍での評価関数の挙動が妥当であることなどの仮定の下で、需要・供給サイドも含めた一致性および漸近正規性の証明を行った。
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