研究概要 |
本研究は、平成16年度において、港湾から排出されるCO2を、 (1)荷役機械や車両の燃料消費や排ガスから直接求めるミクロなレベルで算出、 (2)部分的にミクロレベルの算出が困難である場合において燃料消費量や車両交通量を予測して補ってハイブリットなレベルで算出、 (3)港湾の出入貨物量のみしか情報が与えられないような場合においては他の港の(1)もしくは(2)による算出結果より類推してマクロなレベルで算出、 するという3つのアプローチの構築を目指した。その遂行のために、研究代表者の渡邉が国内の各港を調査し、また、研究分担者の酒井が、その調査結果に基づいて、上記(1)(2)(3)を統合的に算出することを可能にする、CO2排出量評価モデルの理論体系化を行った。 次に平成17年度においては、上述のコンテナ港湾におけるCO_2排出量評価モデルを、国内の主要コンテナ港湾に適用してマクロ的な観点からのCO_2排出原単位を明らかにするとともに、各コンテナ港湾におけるCO_2排出に関する特性を分析した。さらに、各種CO_2排出量削減対策を講じた場合の効果について定量的に検証し、相当程度の削減効果が期待できることを示した。 ・まず、国内の主要コンテナ港湾におけるCO_2排出量評価は、それぞれの港湾の諸条件に応じて年間約9万トンから約14万トンのCO_2排出量となった. 加えて、上記で示した現状に対するCO_2排出量の評価値に対して、以下の代表的なCO_2排出量の削減対策の効果を定量的に評価した。 ・ケース1;陸電を使用することによって停泊中にコンテナ船が補機を使用しない場合. ・ケース2;臨港道路の整備とノンストップゲートの導入などにより,トレーラの渋滞が解消された場合. ・ケース3;自働化・IT化荷役機械の導入などにより,ヤード荷役量が10%減少するとともにコンテナ船の停泊時間が10%短縮された場合. これらの分析の結果、それぞれのケースにおいて4%から22%程度のCO2排出量の削減効果が期待できることがわかった。以上の本研究の成果は、二編の国内学術誌に採択され今年度掲載済みである。
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