本研究は、分析結果から各種災害のリスク評価や安全管理の程度が直接導出できるような新しい災害統計分析手法を提案し、災害リスクの特定・定量的評価と危険物施設などへの安全管理施策を実施する際の合理的な意思決定を支援するための有効な方法論を構築することを行った。 前年度までに、石油タンク等の危険物施設の現場における災害リスクの同定と定量的評価を可能とする定量的災害リスクの概念を定義し、それを導出できる新しい確率・統計的手法の基本部分を確立した。また、提案した分析手法を基に具体的な事故データを利用し、我が国の危険物災害の特性と現状を議論した。これらの成果をベースに、本年度について得られた研究実績は以下の通りである。 (1)災害事例データの収集を他の危険物施設にも広げて行い、提案した手法を用い分析・評価することによって異種災害間でのリスク比較の可能性を考察・検討した。 (2)災害対策効果の評価の考え方と手法の提案を行った。 (3)効果的安全施策立案のための災害統計分析手法の総合検討と災害リスク評価システムの構築を行った。 (4)収集・整理されたデータを用いて、提案した分析手法に基づき、我が国の災害リスクの特性とその構造変化を分析、考察し、同時にその統計分析手法の有効性を確認した。 (5)災害発生統計モデルによるシミュレーションを行い、災害発生の統計的様相を明らかにして、安全施策決定の新しい画像・可視化システムを構築した。
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