研究概要 |
前年度に引き続き,アメリカンタイプのオプションの数値計算の研究を進めている.具体的には行使境界の精密な計算を行うことを目指して,行使境界を決定する積分方程式を数値的に解く方法について研究を行った.また比較検討のため,行使境界の漸近展開による近似式に関する研究を調査し,現在得られている解析近似式を収集した.これと前述の数値解とを比較検討した結果,既存の解析近似式は行使満期での挙動についての解の挙動については,よく近似しているが,そのごく狭い期間を離れると急激に近似の精度が落ちてしまうことが確認された.また,別のアメリカンオプションの解法として注目される,線形計画法に基づく手法について研究し,実証的な数値分析を行った.分析の主眼は,やはり行使境界の挙動についてであるが,格子法やモンテカルロ法などと同様に,離散化によるバイアスが生じていることが観察された.しかし,そのバイアスについての分析は更に検討が必要であると考えられる.
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