研究概要 |
(1)地震時消防防災システムの動的点検・構築支援研究 a) 緊急車両走行のミクロペトリネットシミュレーション開発と点検支援:一般車・大型車の混在流のペトリネットを基に,緊急車両を大型車とし,その走行特性である警報および一般車退避のサブネットを結合化してシミュレーションシステムを開発,そのシミュレーション実行結果を受けて,緊急車両の交差点内走行の支援システムとして,緊急車両からの指令情報による信号制御のペトリネット構成した.そして,このネットの結合化による再シミュレーション実行により,緊急車両の走行性の向上化を確認した.b)地震時緊急路網の走行性の動的点検・構築支援実行:火災通報を受け,指令が出され,緊急車両が出動し現場に到達するまでのシミュレーションネットを対象地域画像上で構築・実行することで,震害阻害の点検が具体的に,かつ幅広く行え,それらの阻害ネットの構成と結合化により,シミュレーションの再実行も容易にしかも即時に行えることを示すとともに,地震時火災の特徴から,緊急路阻害,火災発生数,延焼予測等の情報収集活動に一定時間を割く戦略的指令シナリオの基本シミュレーションネットを開発し,収集活動の許容時間を検討している. (2)地震時避難計画シナリオの動的点検・構築支援研究 a)市街地避難計画シナリオのペトリネットシミュレーション開発:地震時避難計画では,震害による建物倒壊と火災による避難路の制約/切断阻害の点検が重要となる.建物倒壊では阻害点は固定であるが,火災では延焼拡大に伴い変動する.この違いを考慮し,火災延焼シミュレーションとの連携の下での阻害ネット構築法を開発した.そして、背景画像上での基本避難シナリオのペトリネットシミュレーションを出発点に,阻害シナリオの点検・再構築を行い、地震時火災の同時多発性との関連で,避難場所の複数化と誘導情報提供の重要性を示唆した.b)中山間地避難計画シナリオのペトリネットシミュレーション開発:中山間地避難では,まず,経路の勾配や線形といった地理的特性の反映化が大きな課題となる.そのために,プローブカーと携帯GPSによる経路データの収集と,それをベースとして避難経路移動の基本ネットを自動構築するシステム開発を行った.次に,独居者や高齢者の避難シナリオが重要な検討課題となる.これについては,援助者の想定,徒歩/車による避難の想定,非避難者の想定の部分ネットをそれぞれに構築した.最後に,震害阻害としては,斜面崩壊に加えて,降雨災害との複合による土石流の組み入れを行っている.そして,このシミュレーション構成法とその実行結果の公開住民討論会を行い,当初想定の経路について,降雨時の危険性が具体的に指摘される等,この方式での今後の展開性の確認を行った.
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