研究概要 |
提携の実現可能性に制限のある協力ゲームについて、その性質と解概念を中心に研究を実施した。平成18年度において得られた成果を要約すると以下のようになる。 1.譲渡可能効用をもつ協力ゲーム(提携形ゲーム)から拡張されるファジィ協力ゲームは、提携への参加度を考慮したファジィ協力ゲームのうちでも重要なクラスをなすことは既に示した。18年度はこのクラスのゲームにおいて提携の実現に制限が加えられた場合の取り扱いについて基礎的考察を行い、ファジィ拡張と提携への制限の付与の2つの手順の交換可能性を保証する十分条件について成果を得た。 2.より一般のファジィ協力ゲームに対し、実現可能なファジィ提携集合に特別な構造(条件)を付与した場合に、そのことを積極的に利用したゲームの解(値)を提唱し、その解がゲームに関する線形性、全体合理性、ナルプレイヤー性などの重要な性質を満たすことを明らかにした。また通常の協力ゲームから拡張されたファジィゲームに対しては、提案した解が従来の協力ゲームのシャープレイ値などの解と関連することも示した。 3.通常の協力ゲームにおいて、各提携の実現可能性が[0,1]区間の数値を用いて表現されるグレード付き実現可能提携システムの概念を導入し、このシステムによる制限ゲームを定義した。得られた制限ゲームにおいて優加法性、凸性などの基本的で重要な性質が元のゲームから伝播して成立するために、グレード付き実現可能提携システムがどのような構造を持てばよいか考察し成果を得た。 なお、本課題での研究は一応18年度で終了するが、さらなる進展と得られた成果を最適化問題より派生する具体的な協力ゲームに適用することを次の課題としたいと考えている。
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