研究課題
基盤研究(C)
本研究は電気通信産業について、需要側面の分析と供給側面の分析を組み合わせて、全体としての産業特性を明らかにすることを目的としている。需要側面の分析では、これまでに開発した代替を含む需要モデルについて、データを追加し分析を行った。この分析では、「携帯電話の普及初期において無線呼出しサービスと第一世代携帯電話サービスの間に代替性があり、このため携帯電話の普及が抑制された」という仮説を検証することを試みている。方法としては、携帯電話と無線呼出しばかりではなく、PHS、固定電話(アナログ、ISDN)を含む一般的なモデルを構築している。分析の結果、第二世代携帯電話と無線呼出しとの間の代替関係は確かに確認されたが、第一世代との代替関係は見出せなかった。結論としては、携帯電話の普及初期における市場規模の低迷は、他メディアとの代替関係に起因するものではなく、携帯電話のコストそれ自体に起因することが示されたということであり、その後若年層の無線呼出しから携帯電話への乗り換えが生じ第二世代携帯電話の爆発的な普及が起きたという説明が可能になる。上の結果は、二つの意味で重要である。すなわち、第一に電気通信市場のダイナミクスを予測・説明するには、需要側面ばかりではなく費用の側面(料金要素)が無視し得ない。第二に、推定精度についてはシミュレーション・モデル全体を構築し、その感度分析という形で検証を行う可能性がある。費用側面の分析では、費用関数を推定するという方法ではなくDEA(Data Envelopment Analysis)の可能性を検証する作業を行った。従来DEAは企業経営効率性を計測する手法として活用されるきらいがあったが、これが十分に費用分析に利用できることを示すことができた(「DEAを用いた携帯電話事業の独占性の測定」)。ただし、DEAと従来の統計的推定による手法には相違点があり、特にDEAによる時系列データの取り扱いの非合理性が指摘されるが、この点に関して、Sengupta(1995)、Fare and Grosskopf(1996)などの文献に基づき、動学的DEA分析手法を新たに開発した。これらの成果から、本研究の目的である産業組織シミュレータについて基本的な骨格を与えることが可能となった。
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InfoCom Review 36号
ページ: 1-15
International Telecommunications Society Africa-Asia-Australasia Regional Conference,28-30 August 2005,Proceedings
ページ: 1-14
International Telecommunications Society Africa-Asia-Australasia Regional Conference, 28-30 August 2005, Proceedings
International Telecommunications Society 15^<th> Biennial Conference,Berlin,Proceedings
ページ: 1-11
International Telecommunications Society 15th Biennial Conference, Berlin, Proceedings