研究概要 |
平成17年度は,(1)平成16年度に実施したラベル表示理解度実験を引き続き行うとともに,(2)理解度を高める方法としてのラベル表示への追加文字情報の内容検討を主な研究目的とした。それらをもって,平成18年度にまとめる予定の国連GHS勧告の理解を助ける教材のあり方をまとめるに当たっての基礎データとすることとした。 (1)引き続きのテーマであるラベル表示の理解度実験については,国連GHS勧告の解説を求められた講演会などで実施した。結果的に,平成16年度に得られた結果を大幅に覆すものではなかった。ラベル表示のいくつかは絵表示だけではやはり理解度が低いものであった。また,(2)ラベル表示への追加情報については,まず,国連GHS勧告の説明文書から,8文字以内の「追加文字情報」を選択することとした。この選択についても実験手法を用いるべきであったが,1・爆弾の爆発には「爆発物」,2・炎には「引火物」,3・円上の炎には「発火物」,4・ガスシリンダには「ボンベ」,5・腐食性には「腐食物」,6・ドクロには「急性有害物」,7・健康有害性には「慢性有害物」,8・感嘆符には「危害注意」,9・環境には「水生有害物」を抽出した。その追加文字情報を加えたラベル表示理解度実験を,実際に化学物質を取り扱う現場の作業者に対して実施した。なお,対照群はラベル表示理解度実験対象者とした。その結果,いくつか改善も見られたが大幅なものではなく,逆に,円上の炎に用いた「発火物」の表現が「燃える」ことを意識させ「燃やす」ことの理解を下げることとなった。 以上の結果などをまとめ,平成18年度においては学会等で結果を発表し,国連GHS勧告を日本導入するに際しての教材,教育方法のあり方について示す予定である。
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