研究課題/領域番号 |
16510138
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
海堀 正博 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30183776)
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研究分担者 |
末峯 章 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00109092)
北川 隆司 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70112167)
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キーワード | 応力解放 / 斜面崩壊 / 地すべり / 地質構造 / 台風災害 |
研究概要 |
花崗岩類地帯の事例として、広島県内の採石場と道路開設工事現場における亀裂や小崩落発生箇所を現地調査し、応力解放の量や雨と斜面上に発生する異常の量との関わりについて検討した。採石場のデータからは切土斜面上に出現した亀裂の長さの累計量が切土の深さに応じた量だけ比例的に発生していることが指摘できた。一方で、降雨によって出現した地すべり的挙動については、挙動の進行が単純に水位だけによらず、粘土細脈の方向や粘土鉱物の種類など地質構造と応力解放の方向性をあわせて検討する必要があることがわかった。また、道路工事現場のデータからは、切土による応力解放の影響に加えて、水みちの推定と湧水量の把握、また、それに基づく排水対策が斜面異常発生とその対策の効果との関係を説明する上で必要であることがわかった。 堆積岩類地帯の事例として、徳島県内の地すべり地における局所的な人工改変や切土にともなう異常の発生をトータルステーション測量により明らかにすることを試みた。その結果、測量にともなう誤差を考慮しても斜面脚部において特に大きな異常として出現しやすい傾向があることが認められた。応力解放量との関係として次年度以降に定量化していきたい。 上陸した10個の台風のうち4つが大きな土砂災害の発生につながった四国・中国地方において、雨量と土砂移動現象の発生、ならびに、土砂移動を一種の応力解放とみなしての地盤の異常挙動の拡大について調査した。その結果、豪雨にともなう土砂移動の発生しやすさの地質による違いは明瞭であること、過去の豪雨の頻度や程度と土砂移動発生の閾値とに関係が認められる可能性があること、崩壊等の土砂移動が拡大する現象が応力解放の観点で解析できるものと思われること等がわかった。詳細について次年度以降も引き続き検討していきたい。
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