研究課題/領域番号 |
16510138
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
海堀 正博 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30183776)
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研究分担者 |
末峯 章 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00109092)
北川 隆司 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70112167)
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キーワード | 応力解放 / 崩壊 / 地すべり / 地質構造 / 切土 |
研究概要 |
崩壊や地すべりは残留斜面に対して一種の応力解放の作用を及ぼす。この傾向は花崗岩類地質の分布する地域においても、また、層構造の発達した堆積岩・変成岩地質の分布する地域においても同様に見られるが、その結果として新たな弱面の生成をへて、次の崩壊や地すべりの発生につながっていくようである。豪雨や地震動によって崩壊が発生する場がそのような応力解放の影響をかつて直接的にも間接的にも受けていて、結果的に粘土鉱物を生成・蓄積させ弱部となっている場合があることを現地調査と電子顕微鏡を使った詳細な解析により指摘することができた。 また、2004年以前に大規模に崩壊したいくつかの現地(1999年に集集地震により大規模崩壊の発生した台湾の草嶺地区、九分二山地区や加走寮渓沿いの斜面のほか、2004年の台風により大規模な崩壊が発生した徳島県那賀川上流地域、愛媛県や香川県の瀬戸内沿岸地域、また、徳島県や鳥取県のいくつかの地すべり地など)において、崩壊面と崩壊周縁部に不安定化と崩れなどが拡大する傾向が引き続き生じていることを確認した。これらは必ずしも新たな粘土鉱物の生成と結びついているわけではなく、一種の応力解放の影響による不安定化であるとの見方で整理しつつある。 また、道路工事に伴う切土は採石揚における切土などと同様、現地に応力解放を引き起こす。大規模な切土でない場合でも斜面の不安定化・張出し・崩壊が生じうる。2005年度中にも広島県内の数箇所で発生したこの種の現地を視察し、これについても現在、事例を増やしつつまとめの作業に入っている。 最終年度となる18年度には、応力解放の度合いとその後の崩れやすさ・不安定化の起きやすさとについて、地質や地質構造の違いを考慮に入れたまとめにつなげていく予定である。
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