研究概要 |
二型糖尿病モデルマウス(db/db系マウス)に対して血糖降下作用の見られ棘皮動物ヒトデ類・ヤツデスナヒトデ由来の低極性粗分画について精製を行い、2種のセラミド分子種を得た。通常、スフィンゴ脂質は脂肪酸部および長鎖塩基部のアルキル鎖の長さの異なる混合物である分子種という状態で存在しており、その構造多様性に特徴があるが、構造活性相関の検討のために逆相HPLCを用いて個々の成分までの精密分離を行った。すなわち、ヤツデスナヒトデのクロロホルム・メタノール抽出エキスを水と酢酸エチル・ブタノール混液で分配し、濃縮して得られた低極性脂質画分について順相、逆相、ゲル濾過カラムクロマトを繰り返すことにより、α-オキシ脂肪酸とスフィンゴシン型長鎖塩基から構成されるセラミド分子種LMCer-1、α-オキシ脂肪酸とフィトスフィンゴシン型長鎖塩基から構成されるセラミド分子種LMCer-2が得られた。順相TLC上では単一物質の挙動を示す両化合物であるが、逆相HPLCで精製操作を行うとそれぞれ12種および13種の個々の成分に分離することができた。得られた化合物及びその誘導体のFABMS、NMR、GCMS測定データによる科学的知見、およびスペクトル的知見より単一物質であった4種(LMCer1-1,LMCer2-1,LMCer2-6,LMCer2-7)について絶対を含めて構造決定を行った。今回の分離構造決定については、日本薬学会第125年会にて発表を行う。 来年度は得られた化合物を用いて、分子種でなく単一化合物によるアッセイを行い、構造活性相関の検討をする予定である。 また、これまで構造研究を行っていた棘皮動物ヤツデスナヒトデ及びニッポンウミシダのスフィンゴ糖脂質(ガングリオシド、セレブロシド)についても論文投稿し、掲載された。
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