平成16年10月2日〜10月3日に沖縄県石垣島近海の海域において、成分探索用に軟体サンゴClavularia viridisを数kg採取し、ドライアイス凍結後東京へ空輸した。また生合成研究用に生きたC.viridisを東京に持ち帰った。 成分研究用のC.viridisをメタノールで冷浸し、メタノール抽出物を得た。メタノール抽出物について、酢酸エチルと水で分配し酢酸エチル可溶部と水化溶部をそれぞれ得た。現在、酢酸エチル可溶部について、新規プロスタノイドの探索を行っている。 上記のプロスタノイド探索に並行して、軟体サンゴC.viridisに含まれるプロスタノイド生合成酵素の分離と精製に関する研究を行った。生合成の初期の段階に関わると推定される8-リポキシゲナーゼについて検討を加え、本酵素が膜タンパクではなく可溶性タンパクであることをまず明らかにした。次いで紫外吸収分光法による酵素活性の検定法を確立し、研究室の水槽中で飼育中のC.viridisを用いて本格的な分離と精製に着手した。すなわちC.viridisのポリプをホモジネートし、遠心分離して得た上清をDEAEセルロースカラムを用いて分離した。得られた活性画分を疎水性相互作用クロマドグラフィーを用いて分離し、28倍の比活性を示す画分を得た。さらにこの活性画分をイオン交換クロマトグラフィーを用いて精製し、37倍の比活性を示すタンパク画分を得ることができた。現在、最終的な精製について検討を加えている。
|