研究概要 |
昨年度、平成16年10月に採集した軟体サンゴClavularia viridisのメタノール抽出物の酢酸エチル可溶部について、分離を行ったところ新規と推定されるプロスタノイドの存在を検出した。存在量がきわめて微量であったため、本年度平成17年5月に再度沖縄県石垣島近海にて軟体サンゴを採集して、研究を続行した結果、以下に述べる成果をあげることができた。 軟体サンゴClavularia viridisのメタノール抽出物の酢酸エチル可溶部について、各種クロマトグラフィーを繰り返し用いて分離・精製を行い、3種の新規海産プロスタノイドを単離した。構造解析は以下のように行った。分子式は高分解能質量分析および^<13>C NMRの解析から、いずれの化合物もC_<25>H_<34>O_8であると決定した。次いで二次元NMR(COSY,HMQC,HMBC)の解析から平面構造式を導き出し、3化合物は二重結合の立体配置が異なる幾何異性体であることを明らかにした。絶対立体配置については、円二色性測定(CD)の結果から決定した。その結果、3化合物はいずれも軟体サンゴClavularia viridisに含有される海産プロスタノイドであるクラブロン類の20位が水酸基化された新規化合物であることがわかったので、それぞれ20-ヒドロキシクラブロンI、IIおよびIIIと命名した。以上の結果については現在専門学術誌に論文としての投稿を準備中である。 本年度平成17年5月に沖縄県石垣島近海での採集に際しては、Clavularia viridisと近縁の軟体サンゴも取得し、現在その成分について検索を行っている。すでに新規な脂肪酸関連化合物やテルペノイドを見出し、構造を解析中である。
|