研究課題/領域番号 |
16510167
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
松井 太衛 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (90183946)
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研究分担者 |
浜子 二治 藤田保健衛生大学短期大学, 医療情報技術科, 助教授 (80180933)
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キーワード | ヘビ毒 / ボトロセチン / フォンビルブランド因子 / 血小板凝集 / ニューロトキシン / レクチン / ADAMTS13 |
研究概要 |
1)リコンビナント・ボトロセチンの発現 昨年度までにクローニングしたボトロセチンα、β両鎖のcDNAを2箇所のクローニングサイトを持つ発現ベクターであるpTandem-1に組み込んだ。このプラスミドをヒト胎児腎由来の293T細胞にトランスフェクションし、一過性の発現を試みた。培養液を回収し、濃縮後に非還元条件下でSDS電気泳動にかけ、抗ボトロセチン抗体でウエスタンプロッティングをおこなったところ、ボトロセチンと同じ移動度に陽性バンドを認めた。このバンドを切り出し、N末端配列を解析したところ、ボトロセチンα、βのダブルシークエンスを認めた。一方、多血小板血漿を調製し、培養細胞から得られた培養液を一部加えたところ、血小板凝集が起こった。これらの結果から、培養細胞系でリコンビナント・ボトロセチンの産生に初めて成功した。 2)血小板GPIb結合タンパク質(GPIb-BP)の大腸菌での発現 血小板のGPIbに結合して、フォンビルブランド因子(VWF)による血小板凝集を抑制するヘビ毒タンパク質であるGPIb-BPのβサブユニット遺伝子をクローニングし、GSTタグをつけた融合タンパク質としての発現に成功したが、タンパク質の不溶化が起こり、生理活性の検定まで至っていない。 3)キングコブラ毒由来血小板凝集誘起因子の単離 キングコブラ毒から血小板凝集を惹起する分画を得、精製をおこなった。HPLCで単一ピークとなった活性画分をSDS電気泳動にかけたところ、分子量約6800の単一バンドを示した。また、N末端アミノ酸配列はCausus rhombeatus毒由来のNeurotoxin like protein 1と高い相同性を示した。神経毒成分の一つが血小板凝集を引き起こすことが初めて明らかとなった。 4)ADAMTS13分子に存在する糖鎖の解析 ADAMTS13に存在する糖鎖をレクチンを用いて探索した結果、非還元末端はシアル酸であり、その内側はβ1-4またはβ1-3結合したガラクトースと考えられた。一方、VWFに見られるようなABO血液型糖鎖は存在しなかった。
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