研究課題/領域番号 |
16510179
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00339285)
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研究分担者 |
佐藤 雪太 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (40271762)
中村 雅彦 上越教育大学, 自然系理科生物, 教授 (90272880)
浅川 満彦 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (30184138)
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キーワード | ニホンライチョウ / 血液原虫 / ロイコチトゾーン / 特別天然記念物 / 希少種 / 保全医学 / 温暖化 / 媒介昆虫 |
研究概要 |
1)北アルプス(立山室堂、爺ケ岳、乗鞍岳)および南アルプス(仙丈岳、農鳥岳、北岳等)において環境省および文化庁の許可を得てライチョウ61羽から血液を採取した。栄養状態や羽毛状態に著変は認められず、すべて健常個体であると診断された。 2)血液塗抹染色標本を光学顕微鏡下で観察したところ、75%(46/61個体)にLeucocytozoon sp.の感染を認めた。Ashford Scaleによる原虫寄生率は、0から3であった。原虫の形態および計測値から、大陸産のライチョウから検出されているL.lovatiと同種であると判定した。他の住血寄生虫感染は認めなかった。 3)22検体の血液試料について、血液学的および血液生化学的検査を実施した。血液生化学的検査は汎用機によるドライケミストリー法を用いた。得られた値は他の烏種のものと大きく異なることはなく、本法による検査がライチョウに対しても有用であることが示唆された。Leucocytozoon感染と血液学的および血液生化学的検査値との間に有意な相関は認められなかった。 4)Leucocytozoon lovatiのmtDNA cytb領域を解析し、各地域個体群間および他の鳥種間で塩基配列の相同性を比較検討した。南北アルプスのライチョウ間では差が認められなかったが、他の野鳥寄生のLeucocytozoon spp.との間では、694塩基中16.7%から19.7%の差が認められた(DDBJ Accession No.AB183550〜AB183557)。 5)L.lovatiを媒介していると考えられる吸血昆虫を調査した。調査山域でアシマダラブユおよびウチダツノマユブユの生息を確認した。
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