研究概要 |
本研究では,ラオスを中心にしてヴェトナムと中国雲南省を含む「東南アジア大陸山地部」において,「ヒト・モノ・情報の流動」が農山村の生業構造変化にどのような影響を与えているのか,空間的視点から地域間を比較検討しつつ明らかにすることを目的とした。その結果,以下の5点について新しい知見が得られた。 1.「ヒト・モノ・情報の流動」,すなわちグローバル化に対して焼畑農民が,農外活動を導入する,もしくは商品作物を導入するなど,生業構造を変化しつつ対応している。 2.アクセスの悪い山地の集落では,伝統的な焼畑農耕が維持されているが,近年になり農外活動が導入され始めた。 3.ハイブリッド種トウモロコシなどの商品作物の導入には,初期にそれを導入した世帯が地域全体の普及に大きな役割を果たしていることが明らかになった。 4.山岳地域から中国へ輸出される農林産物の仲買構造を解明し,全体的な流通システムを明らかにすることができた。 5.国際ツーリストの増加によって農山村部の観光地化が進展し,社会的な影響が与えられるようになってきた。 以上の結果から,今後も「ヒト・モノ・情報の流動」が農山村部の生業構造変化に大きな影響を与えると考えられる。特に,観光地化の進展と農山村部の変化は新しい現象であり,調査を継続させていく予定である。
|