研究課題
北朝鮮の出現と変化に関するデータ収集およびそれに続く研究に基づき、2年目の(2005年度)の調査は政治経済学の側面、特に1990年代中頃の飢餓危機時に経済が変化し、2000年代に入り南北朝鮮間の自主性が高まったことに従って政治制度が変化した方法を掘り下げて研究した。調査結果は、(1)当時すでに寸断されていた公経済への最も重大な影響は、1990年代中頃の飢饉であった。金日成の死後に起こった飢饉は、地方ならびに平壌や南浦などの大都市よりはむしろ特に中小都市での公経済の崩壊をもたらした。工場労働者が暮らしているこれらの中規模都市では仕事場が閉鎖され、そのため配給が完全に停止した。(2)飢饉危機の際、北朝鮮政治は部分的に変化した。現在、金正日政権下の北朝鮮はいわゆる「先軍政治」を採択しており、現行の体制維持のための軍隊の指導的役割を重視している。先軍政治が党から軍を制度的に分離する一因となっていることは注目に値する。そこで、私は南北朝鮮間の関係が北朝鮮に、とりわけ政治と経済にいかに影響を与えているのかを問題として取り上げた。この側面を明確にするために、北朝鮮問題および南北朝鮮関係を専門とする学者5名を招待し、小規模のワークショップを行った。参加者は韓国への北朝鮮経済の依存度は増していると指摘したが、この傾向は、核開発計画を含む未解決問題に対する双方向の解決に必要な北朝鮮の国際的規範や水準の適応につながっていないという結論に達した。ワークショップは、自らが変化する速度と比較して、国内外の変化に対する政治権力の適応が阻害されているという私の仮定や、システムレベルでいまだ不調和を生み出している状況の解明に役立った。
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Infrastructure of Regional Cooperation in Northeast Asia : Current Status and Tasks (Seoul : KINU)
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