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2007 年度 実績報告書

オセアニア植民地時代における人種間関係の歴史人類学-ニュージーランド統治下サモアを中心に-

研究課題

研究課題/領域番号 16510191
研究機関法政大学

研究代表者

山本 真鳥  法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)

キーワードオセアニア / 国際研究者交流 / 人種 / 人種植民地統治 / エスニシティ / サモア独立国 / 混血 / ネイティヴ
研究概要

前年に引き続き第一次対戦後のニュージーランド統治下の人種政策と人種間関係について,ニュージーランド国立公文書館にて収集した記録やオーストラリア国立図書館にて収集した宣教師の記録などから,再構成した。ネイティヴ(サモア人)は国連との関わりでニュージーランド政府が保護する必要があったが,中国から呼び寄せた年季契約労働者の扱いはかなり差別的だった。サモア人女性との結婚や性交渉は禁じられており,雇用者に依存せざるを得なかった。第二次大戦後に残留していた中国人の多くが帰国するが,一部サモアに残ることを許された人々は,独立後に人権が認められ,西サモアの国籍を取得して市民となった。一方,ネイティヴとヨーロッパ系(ほとんどはサモア人との混血)との峻別は,事実上双方が手を結んでニュージーランド植民地政府に相対することが難しいという効果をもっていた。植民地統治下ではこのように,人種を分断して,それぞれに異なる権利を与えカテゴリー化することで,秩序を守るということが行われていたし,そうした秩序は施政者側からは必要なことであった。しかし,独立して国民国家となるときに,そのような人種の峻別は,国内の統合を阻止する大きな要因となる。西サモアでは此較的うまく,人種の峻別を消してサモア国民を生成することに成功したが,これは,現在でも人種問題1を抱えて不安定な制度を抱え込んでいる隣国フィジーと好対照であるといえよう。
6月の日本文化人類学会の研究大会では,19世紀のサモアの人種間関係を論じる発表を行った。2008年度の同研究大会で20世紀の人種間関係を論じる予定である。また,2008年2月に,キャンベラで行われたオセアニア社会人類学会の研究大会で,「ニュージーランド植民地統治下の人種カテゴリー」と題する発表を行った。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] グローバリゼーションと文化2008

    • 著者名/発表者名
      山本 真鳥
    • 雑誌名

      内堀基光・本多俊和編『文化人類学』

      ページ: 97-111

  • [雑誌論文] 人と人とのやりとり2008

    • 著者名/発表者名
      山本 真鳥
    • 雑誌名

      内堀基光・本多俊和編『文化人類学』

      ページ: 139-152

  • [雑誌論文] エスニシティと『貨幣』-国境を越えるサモア人の交換とアイデンティティ2007

    • 著者名/発表者名
      山本 真鳥
    • 雑誌名

      春日直樹編『貨幣と資源』資源人類学シリーズ05、弘文堂

      ページ: 109-143

    • 査読あり
  • [学会発表] The racial categorization in Samoa during the New Zealand colonial adminstration2008

    • 著者名/発表者名
      Matori Yamamto
    • 学会等名
      Association for Social Anthropology in Oceania
    • 発表場所
      Australia National University
    • 年月日
      2008-02-15
  • [学会発表] 白人・ネイティヴ・ハーフの歴史人類学1-ドイツ植民地統治下サモアの人種政策-2007

    • 著者名/発表者名
      山本 真鳥
    • 学会等名
      日本文化人類学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2007-06-02

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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