研究課題
基盤研究(C)
1.調査データの分析結果(1)聞き取り調査の結果、女性地域リーダーの活動指向は2つに分かれることが明らかになった。ひとつは、地域の政治的意思決定への参画をめざす女性であり、もうひとつは政治的意思決定の場を避けて活動する女性である。(2)農村女性にたいする施策が、リーダー育成から経済的自立へと変化したことにより、女性起業が奨励されるようになった。その結果、女性たちは政治的意思決定への参画よりも経済活動を指向するようになったと考えられる。(3)既存の政治文化を変える方向の活動をする農村女性リーダーと、既存秩序を変えることがかなわなかった漁村女性リーダーがいる。これは個人の資質の問題ではなく、生活改良普及活動が農村中心に展開されていることと、人材育成のノウハウを使用した生活改良普及活動の有無によると考えられる。2.理論・方法論の検討結果(1)調査結果から、「地域社会」が女性たちにとってどういう場であるのかを理論的に位置づける必要があることが明らかとなった。(2)農・漁業地域の女性たちが創出している場の意味は何であるのかについて、地域社会との関係性に注目して既存研究を検討した結果、江渡秋嶺の議論が援用できることがわかった。(3)江渡秋嶺の「場」理論の検討の結果、地域社会と女性との関係のあり方を考察するにあたって、「生活」の視点が欠かせないことが明らかとなった。(4)今後、女性地域リーダーの活動指向について、生活に注目した「場」理論が一般化される可能性と、政治的意思決定の場に入っていかない女性の存在が、地域社会のジェンダー的状況にどう影響するのかについて明らかにする必要があろう。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (10件)
アジアの家族とジェンダー(総頁数319頁)(落合恵美子・山根真理・宮坂靖子編)(勁草書房)
ページ: 207-224
むらの資源を研究する~フィールドからの発想~(総頁数260頁)(日本村落研究学会編)(農山漁村文化協会)
ページ: 180-189
OCHIAI Emiko & YAMANE Mari, MIYASAKA Yasuko eds., "The Family and Gender in Asia"(KEISOSHOBO, Tokyo)
Japanese Association for Rural Studies ed., "Studies on Resource in Rural Communities"(Nousangyoson Bunka Kyoukai, Tokyo)
地方自治の社会学~市民主体の「公共性」構築をめざして~(全頁数345頁)(青木康容編)(昭和堂)
ページ: 130-143
文化共生学研究 4号
ページ: 69-83
AOKI, Yasuhiro eds., " Sociology of Local autonomy "(SYOWADO, Kyoto)
Studies in Cultural Symbiotics 4
地域計画の社会学~市民参加と分権化社会の構築をめざして~(全頁数256頁)(瀧本佳史編著)(昭和堂)
ページ: 38-57
TAKIMOTO, Yoshifumi eds., "Sociology of Regional plan"(SYOWADO, Kyoto)