研究初年度は、調査に協力頂く開業助産師の発掘、聞き取り調査をスムーズにするための人間関係の形成に先ずつとめた。渡邊は環境的に秋田県の助産師との関係作りに成果をあげた。浅井は、少子化の著しい町村(現時点では、調査対象の地名・固有名詞の公表はできない)、かつて助産婦をしていた人、また現役で助産師をしている人を訪ねた。かつての助産婦たちは、人間関係ができないと聞き取り調査になかなか応じてくれないことがわかった。また、聞き取りに応じても、公式的な話しかしないことが多く、産婦との細かな人間関係や機微についてつっこんだコメントは取りにくいことが経験された。 助産の技術的問題では、逆子や会陰保護などについてよりも、産婦の心構えや日常生活の指導など広範囲にわたって産婦教育を実践してきた様子がうかがえた。来年度以降は、今年度の予備的調査をふまえて、つっこんだ聞き取り調査ができるようにしたいと考えている。 施設助産師への調査では、調査表の内容検討をおこなった。とりわけ、病院での血管確保やモニタリング、会陰切開、剃毛などの必要性をどう認識しているのかを答えてもらえるような内容にした。また、昨今の新しいお産のスタイルについてどのような取り入れられ方をしているのかを探るための項目も付け加えた。これは、少子化の現在、産婦に選ばれる出産施設・出産の仕方など取り入れられているのではないかと考えられるからである。
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