研究2年目は、実際に調査協力してくださる病院、開業助産師へのプレ調査および聞き取り調査を継続して行った。とくに、昨年度の聞き取り調査では、元助産婦さんたちとの人間関係ができていない、つまり、信頼関係を築けていない状況であったため、表面的な聞き取りしかできなかった。今年度は、この点をふまえ、時間をかけて人間関係を築くことに主眼をおいた。その結果、少しずつではあるが、お産の技術をどのように修得し、どのような出産介助をしてきたのか、貴重な話を聞くことができた。 また、質問紙による調査では、プレ調査を広く行った結果、質問の不備が多々みつかった。そのため、質問項目、質問内容の大幅な見直しを余儀なくされた。とくに、今日の病院出産において介助する助産師は、独立して出産にかかわるすべてをこなしているわけではなく、病院によって介助することが異なっていることが明らかになった。そのため、本調査では、それが反映されるように質問形態を変えることにした。また、今日の現役の助産師は看護資格をもっているため、より医療的な助産への傾向が伺えた。つまり、産婦への「血管確保」や「会陰切開」への疑問などがあまりないことが浮き彫りになった。そこで、助産と医療的看護のどちらを重視するかについて質問項目を増やすこととした。これと関連して、お産をどのように位置づけているのかを明らかにしたいと考えている。それは、助産師が、お産を医療的できごとが人生のライフイベント(家族、夫婦のできごと)のどちらに重きを置いているかを聞く項目によって明らかにしたいと考えている。 さらに最近の「新しいお産」をどの程度注目しているかなどの質問を増やし、助産技術の工場への意欲を問う質問項目を増やした。新たに質問項目が増えたため、やや不要と思われる質問項目を削除せざるをえないことになり、それは残念であるが、次の調査において明らかにしていきたい。 以上のように、聞き取り調査、質問紙による調査、いずれも満足のいく形で進行している。
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