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2006 年度 実績報告書

出産が回避されるジェンダー要因および技術的要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16510201
研究機関大阪府立大学

研究代表者

浅井 美智子  大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (10212466)

研究分担者 渡邊 竹美  秋田大学, 医学部母権学科, 講師 (90279919)
キーワード出産 / 助産 / ジェンダー
研究概要

研究最終年度にあたり、アンケート調査を広く実施することができた。結果の詳細は報告書に譲るが、調査結果の主な成果を記したい。
今日、日本における助産はほぼアメリカ的な医療システムのなかで行われており、そのシステムへの疑義は少ないことが理解された。しかし、その助産技術に対する満足度は低く、分娩前処置(剃毛、洗腸)、血管確保やモニタリングなどは不要と認識されていることがわかった。さらに、会陰切開については助産師が不要と考えている比率が高かった。開業助産師が激減している現在、助産師といえども病院勤務者であり、その助産技術は産科医に近い。つまり、自然分娩における助産技術が明らかに低下していることを伺わせる。医療機器や薬に依存しないお産はまれである。また、分娩台が仰臥であることから仰臥位を強制されてきたのが日本の病院分娩である。したがって、仰臥位に対する違和感はないものの、それが産みやすい体位かどうかにはやはり疑問があるようであった。助産師は明らかに仰臥位以外の体位への選択が多かった。本来、仰臥位は助産者(助産婦。産科医)にとって都合のよい体位であり、産婦にとってはもっともいきみにくく、母胎、胎児にとって抑圧的体位である。医療機関での分娩体位が産婦の選択できるものであるよう改善される必要があるだろう。
助産者のジェンダーについては、やはり男性助産者への抵抗があった。しかし、専門性が高くなるほど、助産者のジェンダーへのこだわりが減少することがわかった。つまり、助産師は「女性」が望ましく、産科医のジェンダーは問われないということになる。
本研究を通じて、もっとも明らかになったことは、戦後日本に助産システムのアメリカ的転換は、助産婦によって担われてきた助産技術の低下をもたらしたことである。さらに、今日の医療化されたシステムにおいては、「産む人」が主体でなく、医療者主導で出産が行われている。このような状況は、「子産み」ばかりか子どもの「育成力」の低下を招くことになるのではないかと危惧される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] バイオテクノロジーを問題化する言説への疑義 -生殖技術をめぐる言説のジェンダー視点の不在-2006

    • 著者名/発表者名
      浅井美智子
    • 雑誌名

      人文学論集(大阪府立大学人文学会) 第24集

      ページ: 1-10

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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